むし歯治療は一日で終わるの?や、むし歯治療を一日でも早く終わらせるためにはどうすればいいの?などと考えたことがある人は多いと思います。一般的に、むし歯治療は段階を踏む治療のため、一日で終わることは少なく、何回か通院する必要があります。一方、なぜ段階的な治療になるのかや、一日で終わらせる方法についてはあまり知られていないのが実情です。この記事では、むし歯を一日で治すことは可能なのかや、治療を早く終わらせるポイントについてわかりやすく解説します。
むし歯の治療について
- むし歯は一日で治すことができますか?
- むし歯を一日で治せるかどうかは、むし歯の症状によって変わります。例えば、むし歯の症状が軽度な場合は、わずかに歯を削ってコンポレットレジンを充填する処置で済むため、一日で治せるでしょう。また、セレックと呼ばれるシステムを使う場合も、治療を一日で終わらせることが可能です。セレックはCAD/CAMを使ってセラミックの詰め物や被せ物を作るシステムのことで、歯科医院がシステムを導入していれば詰め物や被せ物が必要なケースでも数時間内に治療が完了します。一方、セレックがない歯科医院や、むし歯が進行していてしっかり削る必要がある場合、さらに複数のむし歯が存在している場合は、一日で治すことは難しいでしょう。
- なぜ一般的なむし歯治療は何回も通院が必要になるのでしょうか?
- むし歯治療で何回も通院しなければならない理由は以下のとおりです。
- むし歯治療は段階的に治療するため
- むし歯の症状によって治療法が違うため
- 1本ずつ治療するため
- 保険治療のルールが決まっているため
むし歯治療は、原則として1本ずつ、むし歯の症状に合わせて段階的な治療を実施します。なぜなら、治療によって口腔内のバランスが悪くなったり、噛み合わせが変化して食いしばりや顎関節症などを引き起こしたりする懸念があるためです。また、一気に治療できない理由には、保険治療のルールも影響します。保険診療は、医療費の抑制や公平性を目的にして、レセプトと呼ばれる診療報酬明細書によって管理されており、1回あたりの治療には実質的な上限が課せられています。歯科医院は、厚生労働省が定めるルールに沿って治療を提供する必要があるため、複数回に分けて治療しなければならないわけです。
- 治療法によって必要な日数は変わりますか?
- むし歯治療は治療法によって必要な日数が変わります。例えば、ごく軽度なむし歯であれば、むし歯部分をわずかに削り、コンポジットレジンで埋めるだけなので一日で完了することがほとんどです。対照的に、歯の神経まで侵されているような場合は、抜髄、消毒、歯の土台作り、そして被せ物の作製などの段階を踏む必要があるため、治療期間は数週間におよびます。むし歯の症状によって治療にかかる日数は変わりますが、一般的な保険診療は自由診療よりも時間がかかると思ってよいでしょう。
- 短期集中治療はどのような人に向いていますか?
- むし歯の短期集中治療が向いているのは、以下のようなことに該当する方です。
- 忙しいため通院回数を減らしたい方
- 歯科恐怖症をお持ちの方
- 広範囲を治療しなければならない方
- 複数のむし歯をまとめて治したい方
- 結婚式などの特別な予定が控えている方
- 海外で生活していて日本に一時帰国中の方
短期集中治療は、治療回数が少なく済むことがメリットですが、自由診療に該当するため、治療費がかかることに注意してください。また、すべてのむし歯を一日で治療できるわけではありません。あくまでも、治療回数を少なくできる治療法と考えるようにしましょう。なお、短期集中治療はどの歯科医院でも対応しているとは限りませんので、前もって歯科医院に確認することをおすすめします。
むし歯を一日で治す治療について
- むし歯を一日で治す治療のデメリットはありますか?
- むし歯を一日で治す治療のデメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
- 治療費が高くなる可能性がある
- 身体的な負担が大きくなりやすい
- 嚙み合わせに影響するかもしれない
- 追加治療が生じる可能性がある
- 治療後のケアが求められる
むし歯を一日で治すことは、通院の負担を減らせるメリットがある一方で、身体的な負担やコストの増加がデメリットになることを覚えておきましょう。また、治療後に嚙み合わせが悪くなったり、口腔内に違和感が出たりすることも否定できず、追加治療が必要になる可能性もあります。
- 詰め物や被せ物が必要な場合でも一日で治すことは可能ですか?
- 詰め物や被せ物が必要な場合でも一日で治せる治療法もあります。そもそも、軽度なむし歯であれば、むし歯部分を削った後にコンポジットレジンを充填する処置で済むため、一日で治ることがほとんどです。また、セレックと呼ばれるシステムを使うことで、詰め物や被せ物が同日中に院内でできるため、こちらも一日で治療できる方法といえます。
- 根管治療が必要な場合でも一日で治すことはできますか?
- 根管治療は症状や治療の難易度、さらには患者さんの体力などの要因によって治療にかかる日数が変わります。一日で治せる根管治療は、根管の感染が認められない場合などに限定されるため、一日で治すことは現実的とはいえません。一方、自由診療ながら短期集中治療を選択すると、1回もしくは2回で治療できる可能性はあります。ちなみに、保険診療による根管治療は、前歯で3~4回、奥歯では4~5回かかることが一般的です。根管治療もむし歯治療と同様で、症状の程度によって治療期間が異なることを知っておいてください。
- 複数のむし歯があっても一日で治す方法はありますか?
- 複数のむし歯がある場合、保険診療では一日で治すことは難しいでしょう。理由は、むし歯が複数ある場合、1本ずつ直さないと嚙み合わせに悪影響を及ぼす懸念があるほか、保険診療のルールで制限されるためです。しかし、自由診療の短期集中治療であれば、一日で治せる可能性はあります。短期集中治療でも、むし歯の症状によっては複数回の通院が必要になるため、歯科医師の判断が不可欠です。
むし歯治療を早く終わらせるためのポイント
- むし歯治療を早く終わらせる方法はありますか?
- むし歯治療を早く終わらせる方法は、できるだけ早い段階で治療を受けること、または短期集中治療を受けることです。むし歯の症状が深刻になるほど、治療には時間がかかります。しかし、むし歯の症状が軽ければ治療は早く済むことがほとんどです。痛みや不快感などの自覚症状が出てから治療するのではなく、定期的な検診を受けるようにし、初期症状の段階で治療するのが望ましいでしょう。どうしても治療を早く終わらせたい場合は、短期集中治療の選択肢があることを知っておいてください。
- むし歯を早く治すためのケア方法はありますか?
- むし歯を早く治すためのケア方法は、速やかに歯科医院に行って治療するに限ります。むし歯はある程度進行してしまうと自然に治ることはありません。むし歯になったら、歯磨きや歯間ブラシなどを使ってケアしても治らないため、歯科医院で治療することがなによりも大切です。一方、丁寧な歯磨きや、デンタルフロス、フッ素入り歯磨き粉などを使う日常的なセルフケアによって、むし歯の発生を抑制できます。また、歯科医院でむし歯の予防治療を受けることもおすすめします。歯科医院でしか受けられないPMTCと呼ばれる専門的なクリーニングやフッ素塗布など、3ヶ月から6ヶ月に1回の頻度を目安にしてプロによるケアもあわせて行いましょう。
編集部まとめ
むし歯は症状の程度によっては一日で治すことが可能です。また、短期集中治療やセレックなどの治療法を選択すれば、治療期間を短縮できる可能性もあります。むし歯治療にかかる日数を少なくしたい場合は、早めの治療や短期集中治療などを検討してください。
参考文献