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歯科検診の適切な頻度はどのくらい?定期的な通院によるメリットなどについて紹介

歯科検診の適切な頻度はどのくらい?定期的な通院によるメリットなどについて紹介

歯の健康を維持するためには、定期的に歯科医院にかかって口腔内の健康状態を確認し、適切なケアを続けることが大切です。
むし歯や歯周病といったトラブルを未然に防ぎ、何か症状が発生した場合も軽症のうちに治療が可能となるために必要な歯科検診について、具体的にどのようなことが行われるのかや、適切な頻度について解説いたします。

歯科検診とは?

歯科検診とは?

歯科検診とは、歯科健康診査の略であり、歯やお口のなかの健康状態を総合的にチェックするプログラムのことです。
診査を行った結果として何かしらの症状が認められた場合には適切な治療を行うことで、歯の健康状態を適切に保つことができます。
歯科検診は市町村などの行政機関などが実施しているものと、歯科医院が独自に行っているものがあり、市町村事業は子どもや一定の年齢の方など、対象となる人が受けることができる検査で、歯科医院で行う歯科検診は任意のタイミングで誰でも自由に受けることができるものです。
歯科医院で行われる歯科検診では、トラブルがないかどうかのチェックとともに、歯のクリーニングや必要に応じて歯磨き指導などを受けることができます。

問診

まずはどういった部分を重点的に検査していくかを決めるため、何かしら痛みを感じているかどうかや気になっている部分があるかなどについて、詳しく問診が行われます。
また、生活習慣や普段のケア状況、治療状況などを聞き取ることで歯やお口の中のケアが適切に行なえているかどうかを確認し、適切なケア方法を案内するといった目的もあります。

お口の中の状態確認

それぞれの歯にむし歯があるかどうかや、歯周ポケットの深さ、歯石などの付着状態や、舌や粘膜などに病変がないか、そして噛み合わせに問題がないかどうかなどを詳しくチェックします。
必要と判断された場合はレントゲンやCTによる撮影も行われ、口腔内の状態に応じて、適切なケア方法が検討されます。

歯のクリーニング

市町村事業などで行われる歯科検診では基本的に症状の確認までとなりますが、歯科医院での歯科検診では、むし歯や歯周病といった口腔トラブルを予防するための歯のクリーニングが行われます。
専用の器具を使用して歯垢や歯石を落としていくため、セルフケアとして行う歯磨きではどうしても残ってしまうような汚れをしっかり除去して、歯のトラブルを防ぐことができます。

フッ素塗布

歯に付着した汚れをきれいに除去したうえで、歯にフッ素(フッ化物)を塗布するケアが行われる場合があります。 フッ素を塗布すると脱灰エナメル質中のリン酸カルシウムの反応性が高まり、溶けてしまった歯を再生させる仕組みである再石灰化が促進されることや、細菌が歯垢を栄養として酸を作り出す働きを阻害するため、健康な歯が維持されやすくなります。

歯磨き指導

歯科検診によって歯磨きが適切に行なえていないと判断できる場合には、歯磨き指導を受けることもあります。
歯並びなどに応じて適切な歯磨き方法を身に着けることで、セルフケアの質を向上してむし歯などのトラブルを防ぐことができます。

歯科検診の頻度は3ヵ月に1度程度が理想的

歯科検診の頻度は3ヵ月に1度程度が理想的

ある調査では、歯周治療の後に定期的なメンテナンスを受けた場合では5年間に歯を失った本数が、調査対象となるグループで平均0.5本程度であったのに対し、しっかりと治療を行っても、その後にメンテナンスを受けずにいたグループでは5年間で平均1.1本の歯が失われたと報告されていて、健康な歯を維持するためには定期的な歯科検診によるメンテナンスが重要であることを示す1つの例となっています。
歯科検診を行う頻度は、人それぞれの歯磨きのしかたや、歯周の状態などにもよりますが、1~3ヵ月に1度程度の頻度が理想的とされていますが、生活習慣などによってはこれよりも高頻度での検査が推奨されることもあります。

喫煙などの習慣がある人はもっと高頻度での歯科検診が推奨される

より高い頻度で検査を受けることが推奨されるのは、例えば喫煙習慣がある方です。
喫煙によって唾液量の減少や血流量の低下などによる細胞の代謝低下といった変化が生じると、免疫力が低下して細菌が増殖しやすくなります。
また、タバコに含まれる成分がヤニとして歯に付着すると、これも細菌の増殖につながり、むし歯や歯周病のリスクが高まるので、より高い頻度で検査を受けることが推奨されます。

喫煙の習慣がなくても、ストレスなどによって免疫力が低下している方や、食事の後に十分な歯磨きケアができていない方などは細菌が増殖してしまいやすい状態となっている可能性がありますので、できれば早めに検査を受けるようにしたほうがよいでしょう。

1年に1度などの頻度では足りない理由

歯科医院で専門的なクリーニングを受けた直後はむし歯や歯周病を引き起こす細菌が取り除かれた状態となっていますが、ある程度しっかりとケアが行なえている人の場合でも、3ヵ月程度が経過するとお口の中の細菌は元の状態に戻ってしまうとされています。
そして、増殖した細菌が酸性物質などを作り出すと歯や骨が溶かされてしまい、むし歯や歯周病などの症状へと進行していってしまうため、1年に1度などの少ない頻度でケアを行うような状態では、少しずつ口腔内の健康状態が損なわれていく結果となりやすいといえます。
3ヵ月程度に1回の頻度でしっかりと細菌を除去していると、むし歯や歯周病といった症状を進行させることのない生活が実現しやすくなるため、できればこの頻度での歯科検診を受けるようにした方がよいでしょう。

定期的な頻度の歯科検診によるメリット

定期的な頻度の歯科検診によるメリット

歯科検診を3ヵ月に1回程度の頻度で受けることによるメリットをご紹介します。

早期治療につながる

歯科医院で行われている歯科検診では、現状で歯のトラブルが発生していないかどうかの確認だけではなく、専門的な歯のクリーニングも同時に受けることができます。
むし歯や歯周病といった歯の疾患は、歯に付着した歯石や歯垢に含まれる細菌が酸性物質を作り出し、この酸が歯の表面や歯を支える骨を溶かしてしまうことで症状が進行するものですので、定期的に歯をクリーニングして原因を除去することで、症状の進行を予防できます。

むし歯や歯周病の予防になる

定期的に専門の歯科医院で検査を受けることで、口腔内に何かトラブルが生じた際も早期にこれを見つけ、治療を開始できます。
むし歯であれば小さいうちに見つければ歯をほとんど削ることなく治療が可能となりますし、歯周病も早期に治療を行なえば歯茎の位置を下げずに維持することができます。
また、むし歯や歯周病以外にも、口腔がんといったお口のなかにできるトラブルを早期発見することが可能となります。 口腔がんは早期発見ができれば治療しやすく、生存率も高くなる一方で、症状が進行するとリンパ節などに転移しやすいという特徴もあるため、定期的な検診で早めに症状を見つけることが大切であるといえます。

治療費用を抑えることができる

定期的に専門の歯科医院で検査を受けることで、口腔内に何かトラブルが生じた際も早期にこれを見つけ、治療を開始できます。
むし歯であれば小さいうちに見つければ歯をほとんど削ることなく治療が可能となりますし、歯周病も早期に治療を行なえば歯茎の位置を下げずに維持することができます。
また、むし歯や歯周病以外にも、口腔がんといったお口のなかにできるトラブルを早期発見することが可能となります。 口腔がんは早期発見ができれば治療しやすく、生存率も高くなる一方で、症状が進行するとリンパ節などに転移しやすいという特徴もあるため、定期的な検診で早めに症状を見つけることが大切であるといえます。

クリーニングでの痛みやストレスが少ない

歯のクリーニング頻度が少ないと、歯石が歯茎の深い部分についてしまうようになります。
歯茎の深い部分についた歯石を除去するためには、深くまで器具を入れて掃除する必要があるため、歯のクリーニングの際に生じる痛みやストレスも大きくなります。
痛みが強くなると想定される場合は麻酔を使用してのクリーニングなども行われますが、麻酔注射を行う際の痛みなどが嫌で歯科治療を避けてしまうという方も多いのではないでしょうか。
3ヵ月に1回程度の頻度で定期的に歯科検診を受け、歯石が深い位置に着かないうちにクリーニングを行っていると、痛みが少なく、また一度の通院にかかる時間も短くすむので、ストレスなくケアを行いやすいといえるでしょう。

口臭などの予防になる

歯石や歯垢が蓄積してしまい細菌が繁殖すると、歯磨きをしてもなかなかケアができない口臭となってしまう場合があります。
定期健診でしっかりと口臭の原因である歯石や歯垢を除去することで、嫌な臭いを予防できるといえるでしょう。
また、口臭の原因は口腔内の汚れだけではなく、歯肉炎や口内炎などの炎症が原因となっているケースもあります。
歯科検診を定期的に受けることでこうしたトラブルも早期に発見し、適切に治療を行えるようになるため、歯磨きなどのケアだけでは改善しにくいような口臭についてもしっかりと対策できます。

歯科検診にかかる費用

歯科検診にかかる費用

歯科検診には、市区町村などの地方自治体が行っているものと、歯科医院で行われるものがあります。
地方自治体によって行われている歯科検診としてはまず子どもを対象としたものがあり、市町村の保健センターにおいて1歳半や3歳を対象として行う乳幼児の歯科検診や、保育所や幼稚園において行われる園児を対象として行われるもの、学校の診断の一貫として行われるものがあるため、毎年何かしらの形で受診する機会があるといえるでしょう。
地方自治体の行う歯科検診には成人を対象としたものもあり、その年に歯科検診を受診する資格がある年齢の方に対して案内が送られ、決められた医療機関での検診をうけることができます。
このような地方自治体などが行っている歯科検診は費用が無料となっているケースが多く、口腔内になにかしらの疾患が発生していないかどうかをチェックすることができます。
ただし、歯科検診によってむし歯や歯周病をはじめとした疾患が見つかった場合の治療や、歯石の除去などのケアが必要になった場合は別途費用がかかり、歯科医院への通院が必要となります。
歯科検診を受けることができる頻度も成人では2年に1回程度となってしまうため、しっかりと歯科疾患の予防をするためというよりも、歯の健康が気になった時に補助的に利用するというものになっているのが現状といえます。

一方の歯科医院で行われている歯科検診では、年齢の制限などはなく、誰でも歯科検診の必要性を感じたときに受けることができます。
なお、歯科医院での検診については、以前は予防を目的とした診療が保険適用では無かったため、1回1万円程度の自費診療で検査を受けるか、保健診療を利用するためには、むし歯や歯周病などの何かしらの症状が気になる場合の診察として歯科医院かかることで、歯のトラブルを確認したり、初期の歯周病治療という形で歯のクリーニングが行うというものになっていたため、一度治療が完了した後は少なくとも4ヵ月~半年程度の期間を開けて、また何か歯に異常を感じたときに、症状の治療としてケアを受ける必要がありました。
しかし、2020年4月に行われた診療報酬改定において、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所として認定されたクリニックであればむし歯予防のためのフッ素塗布や歯周病予防のための歯のクリーニングといった、歯科疾患の予防を目的とした定期的な歯のメンテナンス治療が保険適用で受けられるようになったため、特に歯に異常を感じている状態でなくても、3割負担の方であれば2,500円~4,000円程度の費用で歯科検診および歯のクリーニングといったメンテナンスを受けることができます。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の認定を受けるためには医師や歯科衛生士の在籍状況、過去の治療実績、設備基準、地域医療との連携などさまざまな項目を満たす必要があるため、認定を受けたクリニックであれば安心感のある治療をうけやすいというメリットもあるといえます。

上記以外にも、保険組合や会社などが健康増進を目的として歯科検診を受けられる体制を整えているケースなどもありますので、これらを有効活用して3ヵ月に1回程度の頻度で歯科検診をうけると、費用を抑えながら健康的な口腔環境が維持しやすくなるといえるでしょう。

まとめ

まとめ

しっかりと歯磨きなどのケアを行っている人でも、口腔内の細菌は少しずつ増殖してむし歯や歯周病といったトラブルを引き起こす原因となりますので、口腔環境の健康を適切に維持するためには、3ヵ月に1回程度の歯科検診、そして歯のクリーニングといったケアが推奨されています。
歯科検診は自治体が行う無料のものがあり、予防を目的とした歯科検診も条件を満たせば保険適用で受けることができますので、こうした制度を有効活用してみるとよいでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
福田 尚美歯科医師(フリーランス)

福田 尚美歯科医師(フリーランス)

歯科医師臨床研修終了後、審美歯科・ホワイトニング専門医院勤務。 / 一般歯科・小児歯科非常勤勤務。美容健康記事年間500記事作成したライター経験を生かして、歯科コンテンツ作成や歯科企業サポートやセミナーサポート等も行っている。

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