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入れ歯を付けっぱなしにするリスクとは?入れ歯の正しいケア方法を解説

入れ歯を付けっぱなしにするリスクとは?入れ歯の正しいケア方法を解説

着脱式の装置である入れ歯は、適切なタイミングで着けたり外したりします。基本的には、食後や眠る前に外すことになりますが、それ以外の時間は入れ歯を付けっぱなしにしていてよいのか迷っている人も少なくないでしょう。実際に、入れ歯を付けっぱなしにしていると、いろいろな不快症状に見舞われることがあるため注意が必要です。ここではそんな入れ歯を付けっぱなしにするリスクや入れ歯の正しいケア方法について詳しく解説します。

入れ歯を付けっぱなしにするリスクについて

入れ歯を付けっぱなしにするリスクについて はじめに、入れ歯を付けっぱなしにするリスクについて確認しておきましょう。

入れ歯を付けっぱなしにしてはいけないのはなぜですか?
入れ歯は、大きな装置で汚れもたまりやすいです。ブリッジやインプラントといったその他の補綴装置と比較すると、装着時の違和感・異物感も大きいことでしょう。そんな大きな異物である入れ歯を付けっぱなしにしていると、口腔の衛生状態や健康状態が悪くなったり、入れ歯による粘膜への刺激も強くなったりします。そうしたトラブルを未然に防ぐためには、入れ歯を付けっぱなしにはせず、適切なタイミングで外すことが大切なのです。
入れ歯を付けっぱなしにするとどのようなリスクがありますか?
入れ歯を1日中、付けっぱなしにしていると、次に挙げるようなリスクが生じるため、十分な注意が必要です。

【リスク1】口腔衛生状態が悪くなる

入れ歯を付けっぱなしにしていると、唾液の分泌量が減少することがあります。また、入れ歯は汚れた付着しやすいことから、細菌の繁殖が促され、口腔衛生状態が悪化するのです。その結果、口臭が強くなるだけでなく、歯周病やむし歯の発症リスクも増加します。さらには、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)という深刻な感染症リスクも高まるため、十分な注意が必要です。

【リスク2】義歯性口内炎や口腔カンジダ症を発症する

入れ歯に口腔粘膜への圧迫が長時間に及ぶと、義歯性口内炎という入れ歯特有の口内炎ができることがあります。同時に、入れ歯や口腔粘膜で繁殖した真菌が原因で口腔カンジダ症を発症することもあるのです。この2つは入れ歯を付けっぱなしにしている人に起こりやすい症状なので、十分にお気をつけください。

【リスク3】入れ歯の変形や破損を招く

入れ歯はプラスチックや金属などが使われた複雑な構造をした装置です。長時間付けっぱなしにして寝転がったり、歯ぎしり・食いしばりなどをしていたりすると、入れ歯の変形や破損を招くことがあります。なんだか入れ歯が合わなくなってきた、付けると痛みが出るようになったといった症状が認められる場合は、入れ歯が変形しているかもしれません。

【リスク4】誤飲や外傷につながる

小さい入れ歯は、誤って飲み込んでしまうリスクがあります。また、クラスプと呼ばれる金属製のバネの部分や床の辺縁が粘膜を傷つけるリスクもあるため、入れ歯を付けっぱなしにするのはよくありません。

入れ歯を長時間装着しないためのコツを教えてください
入れ歯を外す時間を日々のルーティンに組み込むとよいでしょう。まず、食後と就寝前は原則として入れ歯を外してください。それ以外にも日中1~2時間くらい入れ歯を外す習慣を作ることで、入れ歯の付けっぱなしによるリスクを軽減できます。その前提として、入れ歯を長時間装着することのリスク・デメリットを正しく理解する必要があります。

入れ歯を正しく使うためのケアについて

入れ歯を正しく使うためのケアについて 次に、入れ歯を正しく使うためのケア方法を解説します。

入れ歯は毎食後に外して洗う必要はありますか?
あります。食事をした後の入れ歯には、たくさんの食べカスや細菌などが付着しているため、外してから洗浄しなければなりません。これは朝昼晩の3度の食事だけでなく、間食を摂ったときも例外ではありません。
就寝前の入れ歯の手入れについて教えてください
眠る前には、次の手順で入れ歯をケアしてください。

【手順1】洗面器に水を張る

就寝前に入れ歯の手入れは、洗面器に水を張ることから始まります。これは入れ歯を誤って洗面台に落としたときに破損させたり、排水口に流したりしないために行います。水を張った洗面器のうえで入れ歯を手入れすれば、そうしたトラブルを未然に防げます。

【手順2】義歯ブラシを使って優しく洗う

入れ歯をケアするときは、必ず義歯ブラシを使ってください。普段使っている歯ブラシで磨くと、入れ歯を傷つけるおそれが出てきます。流水下で入れ歯を優しく磨き、汚れが残らないようしっかりケアしてください。プラスチック製の床をゴシゴシと強圧で磨くと、摩耗して適合が悪くなったり、劣化を早めたりする点に注意しましょう。

【手順3】入れ歯洗浄剤に浸ける

入れ歯磨きが終わったら、汚れを水で洗い流し、入れ歯洗浄剤に浸けましょう。基本的には朝起きて入れ歯を装着するまで、洗浄剤に浸けたままで構いません。

昼間に入れ歯を外すときはどうすればいいですか?
昼間に入れ歯を外したときは、感想を防ぐために水を入れた容器に保管しましょう。外した入れ歯をそのままテーブルや机のうえに放置していると、変形やひび割れが生じます。保管する前には、必ず入れば歯を洗うようにしてください。

入れ歯のケアをするときの注意点

ここでは、入れ歯のケアをするときの注意点について解説します。

入れ歯のケアを怠るとどうなりますか?
入れ歯のケアを適切に行わないと、まず入れ歯および口腔内が不潔になります。細菌や真菌などが繁殖して悪臭を放つようになるでしょう。意外に思われるかもしれませんが、入れ歯にも歯垢だけでなく歯石も形成されます。そんな不潔な入れ歯を使い続けていたら、むし歯や歯周病、口腔カンジダ症のリスクも自ずと上昇するのは容易に想像できるかと思います。

また、歯石などの汚れが付着した入れ歯は、適合性が低下して、装着感が悪くなります。その結果、残った歯や歯茎に痛みを感じたり、義歯性口内炎などを発症したりするリスクも高まります。同時に、装置の寿命も縮まるため、入れ歯のケアは毎日適切に行わなければなりません。

変色や変形したしまった入れ歯をそのまま使っても大丈夫ですか?
できるだけ早く、歯科医院で調整してもらいましょう。変色した入れ歯は、見た目が悪くなる程度のデメリットしか生じませんが、変形した入れ歯は、噛む・飲み込む・しゃべる機能に大きな支障をきたすことに加え、残った歯や口腔粘膜にも多大な悪影響をもたらすことから、早急に調整するから、新しいものに作り変える必要があるのです。
入れ歯の手入れでよくある間違いについて教えてください
次に挙げる5つの方法は、入れ歯の手入れではNGといえます。

【方法1】入れ歯を熱湯で消毒する

入れ歯を熱湯で消毒すると、素材が変形するリスクがあります。入れ歯は熱に弱いため、変形すると噛み合わせが合わなくなり、違和感や痛みを引き起こすことがあります。消毒は専門の入れ歯洗浄剤を使用しましょう。

【方法2】硬い歯ブラシやスポンジで磨く

硬い歯ブラシやスポンジで入れ歯を磨くと、表面が傷つく可能性があります。傷がつくと細菌が繁殖しやすくなり、口内炎などのリスクが高まります。やわらかいブラシを使い、優しく磨くことが重要です。

【方法3】歯磨き粉を使う

歯磨き粉に含まれる研磨剤は、入れ歯の表面を傷つける恐れがあります。傷ついた部分に細菌が溜まりやすくなるため、専用の義歯ブラシを使い、歯磨き粉は避けるようにしましょう。

【方法4】漂白剤に浸ける

漂白剤に入れ歯を浸けると、素材が劣化し、変色や破損の原因になることがあります。入れ歯はデリケートな素材でできているため、必ず入れ歯専用の洗浄剤を使用しましょう。

【方法5】入れ歯洗浄剤に長時間浸ける

長時間入れ歯洗浄剤に浸けると、逆に細菌が繁殖することがあります。洗浄剤の指示どおりの時間内で適切にケアを行い、過剰に浸けすぎないように注意しましょう。

編集部まとめ

今回は、入れ歯を付けっぱなしにするリスクや入れ歯の正しいケア方法について解説しました。入れ歯を付けっぱなしにすると、口腔衛生状態が悪くなったり、むし歯や歯周病、誤嚥性肺炎といった感染症のリスクを高めたりするため、避けるようにしてください。また、入れ歯を誤った方法でケアすることも、さまざまなトラブルを引き起こしかねないため要注意です。入れ歯を長く使い続けるためにも、入れ歯は正しい方法で取り扱うようにしてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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