子どもの歯並びやむし歯を治療したいと思ったとき、一般歯科か小児歯科、どちらで受診をすればよいのか気になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では一般歯科と小児歯科の違いについて以下の点を中心にご紹介します。
- 一般歯科と小児歯科の違い
- 一般歯科と小児歯科のかかりつけ医の探し方
- 一般歯科と小児歯科以外の歯科診療とは
一般歯科と小児歯科の違いについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
一般歯科とは
一般歯科とは、主にむし歯や歯周病の治療、根管治療、入れ歯の製作などを行う診療科です。
一般的な口腔内トラブル全般に対応し、審美治療や歯列矯正、インプラントといった専門的な治療は除きます。
また、一般歯科ではむし歯や歯周病を未然に防ぐための予防措置も重視されており、歯磨きの指導を通じて、患者さんが自宅で正しいお口のケアを続けられるよう支援します。
これらの治療や予防は多くの場合、保険が適用される範囲内で行われます。
小児歯科とは
そもそも小児歯科は何歳から何歳まで通えるのでしょうか?
ここでは小児歯科の対象年齢や治療内容について解説します。
小児歯科の対象年齢
小児歯科は明確な対象年齢を設けていないことが多く、乳歯が生え始めた時期から、永久歯が生えそろう時期までの子どもが対象とされています。
目安としては、乳歯が生え始めたら定期的に健診を受けるといいでしょう。
子どもによって歯の生え方には個人差があるため、歯科医師と相談しながら、成長に応じて通院することが重要です。
また、小児歯科では、3歳頃までのお子さんは保護者の方が診療室に同席するのがおすすめです。個人差はあるものの、3歳を過ぎると、お子さんが歯科医師とのコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。
保護者の方にはお子さんから少し離れていただくことで、歯科医師との信頼関係を築く手助けとなります。
お子さんの成長に応じた適切なサポートを行い、歯科治療に対する理解と安心感を育てていきましょう。
小児歯科で受けられる治療
小児歯科では以下のような治療が受けられます。保護者の方も治療に対し、理解を深めることが大切です。
むし歯の確認・治療
生えたばかりの乳歯は、永久歯と比べてやわらかく、むし歯になると短期間で進行する可能性があります。
「どうせ抜けるから大丈夫」と軽く考えてしまうと、将来的に生えてくる永久歯に悪影響を及ぼす可能性があります。
早めにむし歯を見つけて治療を受け、進行を防ぐことが大切です。
また、個人差はあるものの、甘いものを好んでたくさん食べている子どもは、むし歯が発生しやすい傾向にあります。
小児歯科では専門的な歯のクリーニングが行われており、むし歯のリスク軽減につながります。定期的に健診を受け、むし歯の早期発見に努めましょう。
もしお子さんにむし歯が見つかった場合には、コンポジットレジンなどの充填材を用いた治療が行われ、さらなる悪化を防ぎ、むし歯による痛みを軽減させます。
定期的なケアを通じて、健康な口腔環境を維持することが大切です。
歯並びの確認
小児歯科では、乳歯の状態や永久歯の生え方、噛み合わせを総合的に考慮した上で、さまざまな治療が検討されます。
乳歯が抜けるタイミングや永久歯が生えてくる時期が適切かどうかを確認し、成長に伴うズレが見られる場合には、保護者と相談の上で必要な治療を提案する場合があります。
また、子どもが成長する過程で、歯の配置や噛み合わせに関する問題が現れる可能性もあります。
特に受け口の場合は、早めの治療が求められる可能性があるため、歯が生え始めた段階での歯並びのチェックが重要です。
早めに対応すれば、将来的に治療が必要になったとしても、複雑な治療の回避や治療費の軽減につながるでしょう。
歯磨き指導
子どもの時期は、丁寧に歯を磨くのが難しい場合があります。歯ブラシをお口に入れるのが苦手なお子さんもいるので、まずは自身で歯磨きに取り組めるようにサポートすることが大切です。
また、保護者の方は歯科医院で仕上げ磨きのアドバイスを受け、ご家族みんなで協力して取り組む環境を整えてあげましょう。
歯磨き指導の方法は歯科医院にもよりますが、主な内容は以下のとおりです。
- 歯ブラシの持ち方を教える:
指の使い方や力加減に注意し、リラックスした持ち方を促します。 - 磨き方や順番についての指導:
上下左右の歯を均等に磨くことを意識させ、特に奥歯や届きにくい部分には工夫を加えながら、しっかりと磨く方法が指導されます。例えば、ブラシを45度の角度で当てて小さく円を描くように動かすと効果的だとされています。 - 歯磨き時の姿勢について:
歯磨き中は鏡の前に立つか座るかして、お口の中がよく見えるようにしましょう。子どもがラクに磨ける姿勢を見つけることで、より効果的な歯磨きができるようになるでしょう。 - 毎日の歯磨きの時間を決める:
例えば、朝食後と就寝前の2回、各2分間を目安に、ていねいに磨く習慣を身につけると良いでしょう。楽しくて効果的な歯磨きの時間を設けることで、歯の健康を守る力を育てていきましょう。
お子さん自身が歯磨きに慣れない時期は、ご両親がお口の中を確認しながら、一緒に歯磨きをするのがよいでしょう。
また、兄弟姉妹がいる場合は一緒に受診すると、家族全員で歯のケアに取り組むきっかけになります。
フッ素湿布やシーラント
フッ素湿布は、歯の質を強化するための方法の一つです。
むし歯になりかけた状態でも、むし歯菌の酸で溶かされた歯の表面を再石灰化し、酸に負けない丈夫な歯を目指します。
処置はやわらかい歯ブラシを使って行われるため、機械音が苦手なお子さんにもおすすめです。
フッ素湿布以外にも、シーラントというむし歯を予防する方法があります。磨き残しが多い奥歯が対象です。
シーラントは、専用のプラスチック素材を用いて歯の溝を埋めて汚れを溜まりにくくし、むし歯のリスクを低減させます。むし歯を予防するためにシーラントで溝を事前に埋めておくと、永久歯を健やかに保つ助けになります。
しかし、シーラントは時間が経つと剥がれる可能性があるため、定期的に歯科医院でのチェックが必要です。
もしシーラントが一部残ったままの状態になると、逆に汚れが溜まりやすくなり、むし歯が進行する可能性があります。適切な管理とメンテナンスが不可欠です。
一般歯科と小児歯科の違い
それでは、一般歯科と小児歯科は、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
小児歯科で重視している診療内容
小児歯科と一般歯科の治療内容には、大きな違いは見られません。しかし小児歯科では、子どもの成長に合わせた予防と治療を重視しています。
子どもの歯は大人の歯に比べて歯質がやわらかく、むし歯になると進行しやすいため、早期の予防が重要です。
そのため、むし歯予防に力を入れているクリニックが多い傾向にあり、歯磨き指導やフッ素塗布、シーラントなどが積極的に行われています。
また、子どもの歯並びや噛み合わせのチェックも行われています。
噛み合わせの悪さは全身のバランスや健康に影響を及ぼすことから、成長過程を見据えた歯列矯正治療が検討されることもあります。
院内の設備や雰囲気
小児歯科のある医院では、子どもが安心して通える環境づくりがされているクリニックが多い傾向にあります。
例えば、待ち時間に退屈しないよう、遊び場が設置されている場合があったり、遊び場がなくても、絵本や子ども向けの読み物が置かれていたりするなど、お子さんがリラックスして待てるよう工夫されていることがあります。
その他、授乳室やおむつ替えスペースが備えられていたり、保育士が在籍していたりするなど、小さなお子さんを持つ保護者の方も過ごしやすいよう配慮しているクリニックもあります。
治療の進め方や接し方
子どもは、診療中に耳にする機械音や口内に器具が触れることを怖がる傾向にあります。
そのため、声かけを丁寧に行い、子どもの不安を和らげながら治療を進めることが大切になります。
子どもが安心できるような雰囲気作りを大切にしているクリニックを選びましょう。
一般歯科と小児歯科のかかりつけ医の探し方・選び方
初めての歯科医院は、不安があるかもしれません。ここでは、かかりつけ医の探し方や選び方をご紹介します。
健診やインターネットを活用する
かかりつけ医を探すには、健診やインターネットを活用する方法があります。
健診では、医師と直接会話ができるため、相性や信頼感を確認しやすいでしょう。
インターネットを利用すれば、医療機関の診療内容を事前に調べられるため、希望に合った医師を選びやすくなります。
クリニックのホームページでは、医師のプロフィールや医院の情報が詳しく掲載されている場合があります。事前に医師の経歴などを確認してから、かかりつけ医を見つけるのもよいでしょう。
健診については、市区町村や医師会の公式ホームページには、地元の医療機関やかかりつけ医に関する情報が豊富に掲載されています。自身やお子さんのニーズに合った医療機関を見つける手助けとなるでしょう。
地域に根ざした医療サービスを活用し、健康管理をより充実させていきましょう。
コミュニケーションが取りやすいか確認する
歯科医院を選ぶ際には、医師やスタッフとのコミュニケーションの取りやすさを確認しましょう。
例えば、電話での対応が丁寧かどうか、院内の雰囲気がよいかを見てみましょう。対応が冷たかったり、質問に対して親身に答えてくれない場合は、患者さんを大切にする姿勢が欠けているかもしれません。
健診の際は、自身やお子さんにとってわかりやすく説明してくれるのか、相談はしやすいか、という点に注目してみるとよいでしょう。
また、スタッフ同士の関係性や、医師のスタッフへの接し方も注目ポイントです。
院内の人間関係が良好な歯科医院は、患者さんに対しても誠実な対応をしてくれる可能性があります。
治療後のケアやメインテナンスについても丁寧に説明してくれる歯科医院であれば、長期的に通いやすいでしょう。
専門医が在籍しているか確認する
歯科治療は一度削ったり抜いたりすると、自然にもとには戻りません。治療を任せる歯科医院選びはとても大切です。
歯科医院を選ぶ際には、歯周病やインプラント、歯列矯正、口腔外科、小児歯科など、ご自身やお子さんの気になる問題に対する専門医が在籍しているかどうかの確認も重要なポイントです。
専門医の資格は、厳しい審査やトレーニングを経て取得されるものであるため、質の高い治療の指標の一つになります。
また、所属する学会や認定医としての活動状況も、技術力や経験を判断する材料になります。
これらを事前にしっかりと調べることで、信頼できる歯科医院かどうかを見極める助けになります。
通いやすい・予約がしやすいか確認する
小児歯科を選ぶ際には、通いやすさや予約のしやすさも大切なポイントです。
長期的に通えるかかりつけ医を見つけるには、自宅からのアクセスが良好なクリニックを選ぶとよいでしょう。
住んでいるところから近い場所や、職場付近でかかりつけ医を見つけるのもおすすめです。
また、診療日や時間がホームページで簡単に確認できたり、ネット予約が可能であったりすると、忙しいなかでも通院の計画が立てやすくなります。
さらに、ベビーカーや車椅子を利用される方は、バリアフリー対応の施設であるかも確認しておくとよいでしょう。
その他にも、ご家族の受診がきっかけでかかりつけ医を見つけられる場合もあります。
一般歯科と小児歯科以外の歯科診療
歯科診療には、一般歯科、小児歯科以外にも、以下のような診療科目があります。
口腔外科
口腔外科では、お口の中や顎、顔面、そしてそれらに隣接する組織に生じる悪性腫瘍など、さまざまな病気を診療します。
お口の中の異変を放置していると、食事や発音、コミュニケーションにおいて障害を引き起こす可能性があります。
また、見た目にも大きな影響を及ぼすため、患者さんの自信や生活の質を損なうことも少なくありません。
適切な治療を受けることで、お口の機能が回復し、自然な形状や機能を取り戻すことができると、心の安定にもつながります。
また、交通事故やスポーツによる外傷、顎の形状に異常が生じる顎変形症、唾液腺のトラブルといった外科的な治療が必要なケースも対応しています。
さらに、口腔粘膜の異常や神経系の障害、口臭に関する内科的な問題も取り扱っています。
矯正歯科
矯正歯科は、歯並びや噛み合わせの改善を目的とした診療科目です。
歯並びや噛み合わせの改善は美容的な側面にとどまらず、さまざまな機能的なメリットもあります。
例えば、発音の向上が見込め、食事の際は前歯で食べ物をしっかり切り、奥歯でしっかりと噛み砕けるようになります。
さらに、噛み合わせのバランスを整えることは全身の健康にも寄与し、歯の清掃がしやすくなり、結果的に歯の寿命を延ばすことにもつながります。
また、成長期にあるお子さんに対しては、顎や顔の発育を促す役割も果たします。
将来的な歯並びや噛み合わせの問題の予防が期待できるため、矯正歯科は単なる美容治療ではなく、全体的な健康管理の一環として重要です。
子どもの歯列矯正は、成長段階に応じて2つの治療期に分けられます。
最初の治療期(第1期)は、6〜10歳頃に行われ、乳歯と永久歯が混在するこの時期を利用して、成長を促進しながら歯の位置を調整します。歯の発育を考慮し、全体的なバランスを整えることが目標です。
続く第2期治療では、個々の歯に装置を装着し、歯の根元からしっかりとコントロールし、理想的な噛み合わせに導きます。
子どもの成長に合わせた段階的なアプローチは、効果的な歯列矯正につながり、健康な口腔環境を整えるためにも重要です。成長期のお子さんには、顎や顔の適切な成長を促し、将来的な健康にも役立てあげましょう。
まとめ
本記事では一般歯科と小児歯科の違いについてお伝えしました。
一般歯科と小児歯科の違いについて、要点をまとめると以下のとおりです。
- 一般歯科は年齢制限は特に行っておらず、むし歯や歯周病治療、メンテナンスが受けられる。小児歯科の対象となるのは、乳歯が生え始めた時期から、永久歯が生えそろう時期までの子ども
- 一般歯科と小児歯科のかかりつけ医を探す方法は、健診やインターネットを活用する方法がある。自身のニーズや専門医が在籍しているかなどを確認するとよい
- 一般歯科・小児歯科以外にも口腔外科や矯正歯科などの診療科目がある。自身が気になる症状に合わせたクリニック選びが重要
少しでも気になる症状があれば、早めに歯科医院で適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。