顎関節症はどこで診察を受ければ良いのか、一般歯科で治療できるのか、知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では顎関節症は一般歯科で治療できるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 顎関節症を診断・治療できる診療科
- 顎関節症の症状
- 顎関節症になる原因
顎関節症は一般歯科で治療できるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
顎関節症とは
顎関節症とは、顎の関節やその周辺に痛みや違和感を感じる病気です。顎を動かす際に痛みが出たり、お口を開け閉めする時に音が鳴る、お口が大きく開けられないなどの症状が特徴です。
原因には、ストレスや噛み合わせの不具合、歯ぎしりや食いしばりなどの習慣が挙げられます。
顎関節症は一時的に症状が改善する場合もありますが、症状が長引くこともあるため、早期に適切な治療を受けることが大切です。
治療法には、スプリントの装着、薬物療法、理学療法などがよく行われています。
また、生活習慣の見直しも重要な要素で、負担を軽減するのが症状改善につながります。
顎関節症をの診断・治療できる診療科
顎関節症の診断や治療は、どの診療科で受ければよいのでしょうか?
一般歯科の診療内容
一般歯科では、顎関節症の診察・治療も行われ、スプリント療法、薬物療法、理学療法、生活習慣の指導などが提供されます。スプリント療法では、マウスピースを用いて顎への負担を軽減し、筋肉の緊張を緩和します。
薬物療法では鎮痛剤や筋弛緩薬が処方され、理学療法では顎の動きを改善する運動指導が行われます。さらに、歯ぎしりや頬杖などの習慣の改善指導も重要です。
口腔外科の診療内容
顎関節症の診断・治療には口腔外科が向いており、顎や顔面に関連する外科的治療を専門としています。口腔外科では、スプリント治療や薬物療法など、患者さんに合った治療法が提供されます。
スプリント治療ではマウスピースを使用し、顎の負担を軽減します。薬物療法では消炎鎮痛薬や筋弛緩薬を処方して痛みを和らげます。さらに、理学療法や生活習慣の改善も効果が期待でき、顎の筋肉を緩めるマッサージや運動、ストレス管理が推奨されます。
顎関節症治療の病院の探し方
顎関節症を診断・治療できる診療科は主に歯科と口腔外科です。顎の痛みや音、お口を開けにくいなどの症状があるため、早めの診断と治療が重要です。まずは歯科を受診しましょう。必要に応じて口腔外科を紹介されることもあります。
クリニック選びは、スプリント治療や薬物療法、理学療法などを提供している医院を選ぶといいでしょう。顎関節症治療に詳しい歯科医師を見つけるために、インターネットを参考にするのもおすすめです。
口腔外科では、重度の顎関節症や外科的処置が必要な場合に対応し、専門的な治療を行います。
まずは一般歯科で相談し、必要に応じて口腔外科を紹介してもらうのが理想的です。
顎関節症の症状
顎関節症の症状にはどのようなものがあるのでしょうか?
顎の周りが痛い
顎関節症の主な症状には、顎の周りの痛みがあります。
お口を開ける際に痛みを感じる場合、顎関節に負担がかかっている可能性が高いです。この痛みは、関節や周囲の筋肉の炎症が原因で、顎を動かすと悪化する場合があります。
食事中や会話で顎を頻繁に使うことで症状が進行し、お口を大きく開けられなくなる場合もあります。
また、片側に痛みが集中する場合が多く、顎の動きがスムーズにいかず、カクカク音や引っかかりを感じることがあります。
お口が大きく開かない
顎関節症の症状に、お口が大きく開かない状態があります。
これは開口障害と呼ばれ、顎関節や周囲の筋肉に異常が生じることでお口を開ける動作が制限されます。痛みや顎が引っかかるような感覚があり、食事や会話に支障をきたすことも少なくありません。
原因には、歯ぎしりや食いしばり、ストレスによる筋肉の緊張、噛み合わせの問題などが挙げられ、これらが顎に負担をかけて炎症や疲労を引き起こします。
治療には、スプリント治療や薬物療法、理学療法が用いられ、生活習慣の改善も重要です。
お口を開けるときに音がする
顎関節症の症状に、お口を開ける際に音がする現象があります。
これは関節雑音と呼ばれ、顎の関節が正常に機能していない場合に発生します。クリック音やポキポキなどの音があり、時には周囲の方にも聞こえる程大きくなることもあります。
音の原因は、顎の関節にある関節円板がずれてしまうことです。関節円板がずれると、関節が滑らかに動かなくなり、音が発生します。
放置すると、痛みやお口の開閉が困難になることもあるため、早期の治療が推奨されます。
スプリント療法や薬物療法、理学療法、生活習慣の改善が有効とされています。
噛み合わせに違和感がある
顎関節症の症状に、噛み合わせに違和感がある場合があります。
これは、顎関節やその周囲の筋肉に異常が生じることで、噛む感覚が変わったり、噛み合わせがずれているように感じる状態です。
原因には、顎関節の異常や過剰なストレス、歯ぎしり、頬杖をつく習慣などが挙げられます。これらが長期にわたって顎に負担をかけ、噛み合わせの変化を引き起こします。
違和感を感じた場合は、早期に歯科医院で診察を受けることが重要です。
治療には、スプリント治療や理学療法、生活習慣の改善が有効とされています。
その他の症状
顎関節症の症状として、顎の痛みやお口の開閉が困難になることがありますが、ほかにも全身に影響を及ぼすことがあります。
例えば、お口が閉じづらかったり、しっかり閉じられなかったりする問題があり、食事や会話に支障をきたすだけでなく、症状の悪化を招く恐れがあります。
また、顎の動きに異常が生じると、周辺の筋肉に負担がかかり、頭痛や首、肩のこりが発生しやすくなります。さらに、耳の痛みや耳鳴りが現れる場合もあり、これは顎関節と耳が近接しているためです。
これらの症状を放置すると、日常生活に大きな支障が出ることがあるため、早期に治療を受けることが重要です。
顎関節症になる原因
顎関節症の原因は、さまざまな要因が関与しています。
まず、噛み合わせの問題が一因として挙げられます。噛み合わせが悪いと、顎関節に負担がかかり、痛みや異常な音が生じることがあります。
また、ストレスや緊張も顎関節症を引き起こす要因の一つです。
ストレスが溜まると、無意識に歯を食いしばったり、顎に力を入れすぎたりする場合があり、関節に負担をかけます。
さらに、姿勢の悪さも影響を与えます。
スマートフォンやパソコンを長時間使用する際に、前かがみになったり顎を突き出す姿勢が続くと、顎の関節に無理な負荷がかかりやすくなります。
これらの要因が組み合わさることで、顎関節症が発症するリスクが高まります。
顎関節症の検査方法
顎関節症はどのように診断されるのでしょうか?
開口量測定
顎関節症の診断に用いられる検査方法の一つが開口量測定です。
これは、お口をどれだけ開けられるかを測定し、顎関節の状態を確認する方法で、成人の健康な開口量は40〜50mm程度とされます。
顎関節症の患者さんは開口量が減少していることがあり、この測定によって顎関節の可動域や筋肉の状態が評価され、重症度や治療方針が決定されます。
開口量測定は、患者さんに大きくお口を開けてもらい、上下の前歯間の距離を測定するシンプルなものです。
さらに、開閉時の痛みや音、左右の動きもチェックされ、診断の参考にされます。
関節の運動状況診査
顎関節症の検査方法の一つに、関節の運動状況診査があります。
この検査は、顎関節の動きや状態を確認し、異常を把握するために行われます。
具体的には、お口の開閉や横方向、前後方向への動きが正常かどうかを調べ、痛みや動きの制限があるかを確認します。
例えば、お口を大きく開けたときに痛みがあったり、顎がカクカク音を立てる場合、顎関節症の疑いがあります。
また、顎関節部分を押した際の痛み(下顎頭圧痛)も重要な診断指標です。
この診査は、顎関節症の初期診断でよく行われ、治療方針を決定するために必要な検査です。
異常が見つかった場合は、さらに詳しい検査や治療が行われます。
下顎マニピュレーション診査
下顎マニピュレーション診査は、顎関節の状態や異常を確認するために、医師が患者さんの下顎を手で操作しながら関節の動きや位置を診断するものです。
医師は下顎を動かし、関節の滑らかさ、引っかかり、音の有無を確認し、顎の開閉や左右の動きに伴う痛みや不快感も調べます。
この診査により、関節内の障害や関節円板のズレを評価し、顎関節症の原因や進行具合を把握できます。
咬筋圧痛診査
咬筋圧痛診査は、食べ物を噛む際に使われる咬筋に痛みや異常があるかを確認する診査です。
顎関節症では、筋肉の緊張や炎症が痛みを引き起こすことが多く、この診査では指で咬筋を押して圧痛の有無や強さを確認します。
咬筋が硬直していたり、強い痛みがある場合、顎の動きに異常がある可能性が高いと考えられます。
咬筋圧痛診査により、痛みの部位や程度を把握し、顎関節症の診断に役立てます。
画像診断
顎関節症の診断で、画像診断は重要な役割を果たします。顎関節の状態や異常を詳細に確認でき、治療方針を決めるための重要な情報が得られます。
画像診断には、X線、CTスキャン、MRIがあります。
X線は骨の形状や位置の異常を確認するために使用され、顎関節の骨の状態を把握するのに役立ちます。
CTスキャンでは、骨や軟部組織の詳細な画像が得られ、骨の損傷や異常を正確に診断できます。
MRIは主に軟部組織の状態を確認し、関節円板や筋肉、靭帯の異常を検出します。
これらの診断法を組み合わせることで、顎関節症の原因や進行を総合的に判断し、適切な治療法を選択できます。
顎関節症の治療方法
顎関節症にはどのような治療方法があるのでしょうか?
スプリント治療や薬物療法、理学療法など、さまざまな治療法を詳しく解説します。
スプリント治療
スプリント治療は、顎関節や筋肉への負担を軽減するために特殊なマウスピースを装着する治療法です。マウスピースはスプリントと呼ばれ、主に夜間に装着して歯ぎしりや噛みしめによる負担を減らします。その結果、顎関節や咀嚼筋にかかる圧力が緩和され、痛みや炎症の改善が期待されます。
スプリントは患者さんごとに作られますが、人によってはかなりの厚みや硬さが必要なこともあり、違和感を訴える方もいます。
治療は段階的に進み、スプリントを継続的に使用すれば顎の安定が図られ、関節の可動範囲が改善されます。
薬物療法
顎関節症の治療方法に薬物療法があります。
薬物療法は、顎関節症による痛みや炎症を抑えるために、鎮痛剤や抗炎症薬を使用する方法です。非ステロイド性抗炎症薬を使用して関節や筋肉の痛みを軽減させ、炎症を抑える効果が期待されます。
痛みが強い場合や筋肉の緊張が原因となっている場合には、筋弛緩薬も併用されることがあります。
また、神経痛が続く場合には、抗不安薬や抗うつ薬を使用するケースもありますが、これはストレスや不安が痛みを悪化させることがあるためです。
薬物療法は、あくまで一時的な痛みの緩和が目的であり、根本的な治療にはほかの療法と併用するのが多いようです。
自己判断での長期服用は避け、医師の指導のもとで適切に行うことが大切です。
理学療法
顎関節症の治療方法に理学療法があります。
理学療法は、顎関節の痛みや動きの改善を目的とした非侵襲的な治療法で、歯科医院で行われます。
具体的には、関節や筋肉を緩めるためのマッサージや、顎の可動域を広げるストレッチなどが含まれ、顎の緊張を和らげ、痛みを軽減する効果が期待されます。
さらに、患者さんが自宅で行えるエクササイズとして、顎の開閉運動や正しい姿勢の維持も推奨され、日常的に行うことで症状の改善が進みます。
温熱療法や冷却療法も理学療法の一部として痛みや炎症を軽減する効果が期待できます。
理学療法は、薬物療法やスプリント治療と併用され、総合的な治療プランとして顎関節症の症状改善に役立ちます。
生活習慣の指導
顎関節症の治療方法に、生活習慣の改善があります。顎関節症は日常的な習慣や動作が原因で発症するケースが多いため、まずは歯を強く噛みしめる癖や頬杖など、顎に負担をかける行動を意識して改善するのが重要です。
認知行動療法を取り入れ、習慣自体を見直すことが有効とされています。
また、硬い食べ物を避けることや、食事で片側だけで噛む癖を直すことも、顎への負担を減らす方法の一つです。
さらに、ストレスが症状を悪化させることがあるため、リラクゼーションやストレス管理も大切です。
日々の生活習慣を改善すれば、顎関節症の症状緩和や再発予防が期待できます。
まとめ
ここまで顎関節症は一般歯科で治療できるのかについてお伝えしてきました。
顎関節症は一般歯科で治療できるのか、要点をまとめると以下のとおりです。
- 顎関節症を診断・治療できる診療科は、一般歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科、整形外科が挙げられる
- 顎関節症の症状には、顎の痛み、開口時の音、お口を開けにくいなどがある
- 顎関節症の原因には、噛みしめや歯ぎしり、頬杖、ストレス、噛み合わせの問題などがある
早期に適切な診断と治療を受けることで、顎関節症の悪化を防ぎ、快適な日常生活を取り戻しましょう。顎関節症の症状が気になる場合は、まず一般歯科で相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうとよいでしょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。