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ナイトガードは歯ぎしりや食いしばりに有効?就寝時に歯を守るナイトガードについて解説

ナイトガードは歯ぎしりや食いしばりに有効?就寝時に歯を守るナイトガードについて解説

歯ぎしりや食いしばりといったブラキシズムは、一緒に眠っている人に不快な思いをさせるだけでなく、大切な歯や顎関節に多大な悪影響をもたらすため、早期に改善するのが望ましいとされています。その際に、使われる治療装置にナイトガードというものがあります。就寝時に歯を守ることができるナイトガードは歯科医院で作ることができますが、どのような種類や効果があり、どのくらいの費用がかかるのか気になる人もいるでしょう。ここではそんなナイトガードについて詳しく解説します。

ナイトガードとは

ナイトガードとは

ナイトガードとは、文字どおり夜間(ナイト)に歯を守る(ガードする)治療装置です。マウスピースの形をした装置で、着脱は誰でも容易に行えます。歯ぎしりや食いしばりは主に眠っている間に現れることから、基本的には就寝中のみ装着するだけで治療が行えます。ナイトガードを使用した歯ぎしりの治療を「スプリント療法」と呼びます。

マウスピースの種類と特徴

マウスピース型の装置であるナイトガードは、ソフトタイプとハードタイプの2種類に分けられます。

【ソフトタイプ】
ソフトタイプは、軟らかい素材で作られており、マウスピースを装着したときの違和感が少ないのが特徴です。その反面、耐久性は劣るため、噛む力が強い人には向いていません。

【ハードタイプ】
ハードタイプは、硬い素材で作られており、マウスピースを装着したときの違和感が大きいです。耐久性に優れるため、噛む力が強い人に向いている素材です。

ナイトガードの効果

ナイトガードに期待できる主な効果は、歯の保護をすることです。歯ぎしりや食いしばりによって歯にかかる負担は、想像している以上に大きく、放置をしていると歯が摩耗したり、欠けたりすることがあります。ナイトガードを使うことで、就寝中の歯への負担軽減が期待できます。また、ナイトガードを装着していると下顎が正常な位置へと誘導されることで、歯ぎしりが起こりにくくなるという効果もあります。結果として、睡眠の質が向上して、日中も快適に過ごせるようになります。

ナイトガードの費用

ナイトガードを用いたスプリント療法は、基本的に保険が適用されます。歯の摩耗や顎の痛みなど、具体的な症状が出ている場合は、保険診療で治すことができるのです。そのためナイトガードの治療にかかる費用は、1〜3割負担となります。3割負担の場合は、3,000〜5,000円程でナイトガードを作ることができます。

歯ぎしりの概要

歯ぎしりの概要

続いては、歯ぎしりについての基本事項を確認していきましょう。

歯ぎしりによって生じる影響

歯ぎしりは、就寝中に無意識に行われることが多く、長期間にわたるとさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

【影響1】歯が摩耗する

歯の表面がすり減って、歯が摩耗してしまいます。特に、噛み合わせの部分に強い力がかかり、エナメル質が摩耗してしまうため、歯が短くなったり形が変わったりします。歯の摩耗が進行してしまうと、むし歯のリスクが高まります。

【影響2】歯がしみる

エナメル質が摩耗すると象牙質が露出して、歯がしみる症状が現れることがあります。特に、冷たいものや甘いものを摂取した際、敏感に反応することが多く、患者さんにとって日常生活に支障をきたす場合があります。

【影響3】歯が欠ける・割れる

歯ぎしりによる強い力が継続的に加わることで、歯が欠けることがあります。ひどい場合には割れたりしてしまうこともあるでしょう。特に、以前に治療を受けた歯やむし歯が進行している歯は、破損のリスクが高まります。

【影響4】

顎の骨が破壊される 歯ぎしりによって顎関節や周囲の骨に過度な負担がかかることで、顎の骨が徐々に破壊されることがあります。この影響により、顎の痛みやお口の開閉時に違和感を覚えることがあります。

【影響5】顎関節症を発症する

極端に強い力で噛んだり、長時間歯ぎしりし続けたりすると、咀嚼機能の支点となる顎関節に大きな負担がかかります。その結果、顎関節症を発症することも珍しくありません。毎朝起きたときに顎が痛いという人は要注意です。

【影響6】頭痛や肩こりに悩まされる

歯ぎしりの習慣は、噛み合わせに不具合を生じさせ、頭痛や肩こりの原因となることがあります。朝起きたときに頭痛がある場合、歯ぎしりが関与している可能性があります。

【影響7】詰め物・被せ物がとれる

歯ぎしりによる強い力は、詰め物や被せ物にも影響を与えます。詰め物が取れたり、被せ物がずれたりしてしまうことがあるため、治療を受けた後には特に注意が必要です。

歯ぎしりの種類と特徴

歯ぎしりにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴と影響があります。ここでは、代表的な3つのタイプを解説します。

【種類1】グラインディング(歯ぎしり)

グラインディングとは、上下の歯を強くすり合わせるタイプの歯ぎしりを指します。この動作は、主に就寝中に無意識に行われることが多く、歯の表面が摩耗する原因となります。長期間にわたるグラインディングは、歯の摩耗を促進し、むし歯や歯周病のリスクを高めます。

【種類2】クレンチング(食いしばり)

クレンチングは、上下の歯を強くかみ締める癖です。これは、昼夜問わず無意識のうちに行われることがあり、特にストレスが原因で発生しやすいとされています。クレンチングによって歯には常に強い圧力がかかり、顎の筋肉にも負担がかかります。その結果として、頭痛や肩こり、顎関節の痛みが引き起こされることもあります。

【種類3】タッピング(歯列接触癖)

タッピングは、上下の歯を軽く接触させる行動を繰り返す習慣です。ほかの歯ぎしりと比べると力は弱いものの、頻繁に行われると歯や顎への負担が蓄積し、長期間続けることで歯の健康や噛み合わせに問題が生じることがあります。

歯ぎしりの予防方法

歯ぎしりの予防に効果的なのはナイトガードの使用です。歯ぎしりは就寝中、無意識で起こってしまいます。寝る前に装着するだけで予防できるナイトガードは、誰でも実践しやすい予防法といえるでしょう。

ナイトガードのメリット

ナイトガードのメリット

ナイトガードを用いた歯ぎしりの予防には、以下のようなメリットがあげられます。

歯の負担の軽減

ナイトガードを装着することで、歯ぎしりと食いしばりによる歯の負担を軽減することができます。歯と歯の接触をすることを防ぎ、噛み合わせにかかる力を分散させることで、歯への影響を減らします。歯科治療を受けた患者さんの場合、詰め物や被せ物が取れてしまうといったリスクも抑えられるでしょう。

顎関節にかかる負担の軽減

歯ぎしりや食いしばりによる、顎関節への過度な負担を軽減することができます。歯ぎしりや食いしばりが続くと、顎関節にも大きな負担がかかり、顎関節症を引き起こし、顎の痛みやお口を開ける際の違和感を覚えることがあります。

ナイトガードを使用することで、噛み合わせにかかる力を分散し、顎関節への負担を軽減します。顎の痛みや違和感の軽減だけでなく、顎関節の健康維持にもつながるでしょう。

寝ている間の歯ぎしりを確認できる

寝ている間に、どのくらい歯ぎしりをしているかを確認することができます。ナイトガードには、歯ぎしりの痕跡が残るため、その状態をチェックし、患者さんがどの程度の力で歯ぎしりをしているのかを把握できます。

これにより、治療方針の見直しやナイトガードの調整が可能となり、患者さんに適切な治療を提供することができます。歯ぎしりや食いしばりの自覚がない患者さんにとって、ナイトガードは自身の状態を理解するための有用な手段でもあります。

ナイトガードのデメリット

ナイトガードのデメリット

ナイトガードによる歯ぎしりの予防治療には、次に挙げるデメリットを伴います。

慣れるまで違和感が生じる

ナイトガードを初めて使用する患者さんは、装着時に違和感を覚えることが少なくありません。お口のなかに異物を入れるため、噛み合わせや、話しをする際に不快感を覚える場合があります。また、就寝時に装着するため眠りが浅くなったり、落ち着いて寝付けないと感じたりする方もいるかもしれません。個人差があるものの、数週間使用することで次第に慣れてくることが一般的です。もし、どうしても違和感が強い場合や痛みを感じる場合は、歯科医に相談しナイトガードの調整を行なってもらうようにしましょう。

メンテナンスが必要になる

ナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりから歯を守る役割を果たしますが、歯ぎしりが強い場合には、ナイトガード自体が削れてしまうことがあります。そのため、定期的にナイトガードの状態をチェックし、必要に応じて交換や調整が必要です。

ナイトガード使用の注意点

ナイトガード使用の注意点

ナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりを軽減するには効果的ですが、長期間快適に使用するためには、日々の手入れが重要です。ここでは、ナイトガードを使用する際の注意点として、手入れの方法と洗い方について解説します。

日常的に手入れが必要

毎日、装着後は手入れをし続けることが大切です。ナイトガードは、口内に残る雑菌や汚れが付着しやすいため、使用後は必ず丁寧に洗浄する必要があります。雑菌が繁殖すると、口内の衛生状態が悪化し、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。

ナイトガードの手入れ方法としては、以下の方法で行ないましょう。

  • 流水でしっかりと洗い流す
  • 歯ブラシで優しく磨いて汚れを除去
  • 洗浄後は乾燥させてから専用のケースに保管
  • 湿気やホコリがたまりにくい環境を保つこと
  • 定期的に歯科医で状態をチェック

使用状況によっては、交換や調整を行うことも忘れないようにしましょう。

洗い方に注意

ナイトガードは精密な医療器具であるため、洗浄方法にも注意が必要です。注意点の一つに、熱湯で洗浄することは避けてください。高温の水は、ナイトガードの素材を変形させたり、劣化させたりする原因となることがあります。常温の水やぬるま湯を使用して洗浄するのが適しています。また、強力な洗剤やアルコールなども避け、歯科医が推奨する洗浄剤や中性洗剤を使用するようにしましょう。

ナイトガードは、適切な洗浄と保管を行うことで、長期間にわたって効果的に使用でき、歯や顎の健康を守る助けとなります。

歯ぎしり対策のナイトガードが作れるクリニックの探し方

歯ぎしり対策のナイトガードが作れるクリニックの探し方

ナイトガードを使用して歯ぎしりや食いしばりの影響を軽減したい場合は、適切な歯科医院を見つけることが重要です。ここでは、ナイトガードが作れる歯科医院の探し方について、ホームページの確認や電話での問い合わせについて解説します。

【探し方1】歯科医院のホームページを確認する

歯科医院を選ぶ際には、医院のホームページを確認しましょう。多くの歯科医院は、ナイトガードや歯ぎしり治療に関する情報を掲載しています。特に、歯ぎしり食いしばり、ナイトガードといったキーワードが含まれているページを探し、どのような治療が提供されているかを確認することが大切です。

また、医院によってはナイトガードの種類や治療の流れ、費用についても詳しく説明しているところがあるため、これらの情報を参考にしながら選ぶことができます。ホームページから得られる情報には、治療を受けた患者さんの声や、症例紹介もあるので参考にするとよいでしょう。

【探し方2】歯科医院に電話で問い合わせる

歯科医院に電話で問い合わせて確認することもおすすめです。ホームページに詳しい情報がない場合でも、電話で「ナイトガードを作ることができますか?」や「ナイトガードによる治療の流れや費用はどのくらいですか?」といった質問を直接することで、より具体的な情報を得られます。

電話をかける際は、医院がどのような診療を行っているか、噛み合わせに関する診察があるか、むし歯の検診も併せて行うかなど、自分に合った治療が提供されるかどうかを確認することがポイントです。また、初めての患者さん向けの対応や予約の取りやすさもクリニック選びにおいて重要な要素となります。

まとめ

歯ぎしりや食いしばりの治療に有効なナイトガードについて解説しました。ナイトガードはマウスピース型の治療装置で、就寝中に装着することで、歯ぎしりによる歯や顎への影響を軽減できます。ナイトガードによる歯ぎしりの治療に関心のある人は、まず近くの歯科医院に問い合わせてみたり、ホームページで情報を集めたりすることが推奨されます。そのうえでナイトガードによる治療を行える歯医者のカウンセリングを受けましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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