失った歯を補う装置である入れ歯。基本的には歯科医院を受診して作製するものですが、インスタント入れ歯という既製品を購入することも可能になっています。インスタント入れ歯はとても特殊な装置で、その名前を初めて耳にしたという方も少なくないことでしょう。ここではそんなインスタント入れ歯の特徴や使用方法、その他の入れ歯との違いなどを詳しく解説します。手軽に使える入れ歯に関心のある方は参考にしてみてください。
インスタント入れ歯の概要
はじめに、インスタント入れ歯の基本事項を確認しておきましょう。
- インスタント入れ歯とはどのようなものですか？
- インスタント入れ歯とは、文字どおり簡易的な方法で装着することができる入れ歯です。歯が抜けた部分に装着する付け歯のようなもので、取り扱いの際に特別な知識や技術は必要ありません。いわゆる付け爪のような感覚で付けられる歯がインスタント入れ歯です。
一般的には、複数の色の人工歯が封入されており、自分の歯に合ったものを選択できます。インスタント入れ歯を口腔内に固定するためのフィッティングビーズやカット用ハサミ、仕上げ用やヤスリなどが同梱されています。
- 普通の入れ歯との違いについて教えてください
- 普通の入れ歯は、人工歯とプレート部分である義歯床（ぎししょう）、残った歯に引っかける金属製のクラスプから構成されています。とても精密な装置なので、必ず事前に歯科医師による診断と治療計画の立案が必要となります。そのうえで、歯科技工士が入れ歯を作製して、歯科医師が調整を加えて患者さんのお口のなかにぴったりとフィットさせます。つまり、普通の入れ歯はさまざまな医療の専門家が作製に関わる人工臓器のような装置といえるのです。
一方、インスタント入れ歯は、既製品お金を出せば誰でも購入できます。装着の際には少しコツがいりますが、説明書に従うことで適切に行えます。また、インスタント入れ歯は、入れ歯という名前が入っていますが、普通の入れ歯のような義歯床やクラスプは付いていません。基本的には人工歯のみの装置となります。着脱が可能で用途としては入れ歯に近いことから、このような名前で呼ばれているのでしょう。
- インスタント入れ歯はどのような人におすすめでしょうか？
- インスタント入れ歯は、歯がない部分があることで笑顔に自信が持てない方におすすめできます。特に前歯を失っている場合は、口元の審美性を大きく低下させる要因となるため、インスタント入れ歯にて欠損部を補うだけでも、見た目に大きな変化が期待できるでしょう。
歯がない部分は普通の入れ歯で補うに越したことはないのですが、失った歯を改善する費用をできるだけ抑えたい、今すぐにでも見た目を改善したい、歯科治療を受けるのが怖いという方には、簡易的にでも欠損部を補えるインスタント入れ歯がおすすめです。
インスタント入れ歯の購入方法
次に、インスタント入れ歯を購入する方法について解説します。
- インスタント入れ歯はどこで手に入れられますか？
- インスタント入れ歯は、一般的な口腔ケア用品とは異なり、薬局やドラッグストアで購入することはできません。実店舗での販売がありません。今のところインスタント入れ歯を購入できるのは、楽天市場やYahooショッピング、AmazonなどのECサイトに限定されています。
こうしたサイトを使い慣れている方にとっては、むしろ購入しやすいかと思いますが、普段から実店舗を利用している方にとっては、不便を感じるかもしれません。特にインスタント入れ歯は、実物を確認したうえで購入することが難しいため、必ず事前に商品の説明やレビューなどをチェックしておくことが大切です。ECサイトで購入して、いざ手元に届いてから、思っていたものと違うと後悔するケースも珍しくありません。
- インスタント入れ歯は歯科医院などで購入できますか？
- インスタント入れ歯を歯科医院で購入することはできません。今のところは、特定のECサイトでのみ購入が可能となっています。おそらく今後もインスタント入れ歯を歯科医院で取り扱う可能性は低いでしょう。歯科医師の観点からすると、インスタント入れ歯はデメリットやリスクのある装置だからです。
具体的には、インスタント入れ歯によって口腔衛生状態が悪くなることがあります。扱い方を間違えると、隣の歯や周りの歯茎にダメージを与えることもあるでしょう。インスタント入れ歯によって致命的な症状が現れる可能性は極めて低いですが、歯科医院であれば医学的に正しい方法で欠損部を補うことができることから、インスタント入れ歯を採用することは考えにくいです。
インスタント入れ歯の使用について
インスタント入れ歯の使用方法について解説します。
- インスタント入れ歯の付け方を教えてください
- インスタント入れ歯には、人工歯が複数連なったパーツが封入されています。失っている歯の本数に応じて、人工歯を切り取る必要があります。その際は、自宅にあるハサミではなく、同梱されているカット用ハサミを使用するとよいでしょう。失った歯が1本であればひとつ、2本であればふたつ分の人工歯をつながったままカットします。
続いて、付属のフィッティングビーズを90℃のお湯に入れます。フィッティングビーズは人工歯を口腔内で固定するために使う材料です。白色から透明に変化したらスプーンなどで取り出して接着剤として使用します。
人工歯に接着剤をつけて欠損部に固定したら、インスタント入れ歯の装着が完了します。装着位置は自分自身で調整する必要があります。ここで紹介したインスタント入れ歯の付け方は、あくまで一例です。製品によっては手順が大きく変わる場合もありますので、その点はご了承ください。
- インスタント入れ歯は付けたまま食事ができますか？
- インスタント入れ歯は、審美目的で使う装置なので、装着したまま食事することはできません。入れ歯という名前から、付けたまま噛むこともできそうですが、インスタント入れ歯の構造上、食事をすることはできません。もし、インスタント入れ歯を付けたまま食事をした場合、当然ですが人工歯が容易に外れてしまいます。特に誰かと一緒に食事をしているときは、インスタント入れ歯が外れることで恥ずかしい思いをする可能性もあるため、できることを正しく理解しておきしましょう。
- インスタント入れ歯のお手入れ方法について教えてください
- インスタント入れ歯は、普段から使っている歯ブラシでお手入れすることができます。歯磨きする際にはインスタント入れ歯を取り外すため、そのついでに装置も磨いておくとよいでしょう。インスタント入れ歯はプラスチックで作られているため、硬い歯ブラシでゴシゴシと磨くと表面に傷が付いたり、場合によっては割れたりするため、丁寧に行う必要があります。経年劣化もしやすく、徐々に変色や摩耗が進んでいきます。適切にケアすることで半永久的にも使用できるでしょう。
編集部まとめ
今回は、インスタント入れ歯という特殊な製品について解説しました。インスタント入れ歯は、失った歯を簡易的に補うことができる市販の製品で、楽天市場やYahooショッピングなどで購入可能です。歯がない部分に装着することで、審美性を改善できます。使用方法も簡単で、取扱説明書を読めば誰でもすぐに使えます。ただし、インスタント入れ歯はあくまで審美性の向上だけを目的とした装置であり、失った歯の噛む機能を回復できませんので、その点はご注意ください。また、本物の入れ歯とは異なり、口腔内にぴったりと適合させることもなかなか難しいのが現実です。それでも欠損部を早く補いたい、歯科医院を受診せずに見た目をよくしたいという方にはインスタント入れ歯がおすすめといえます。
参考文献
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